top of page

第5回日本APNシンポジウム

​プログラム

宇野さつき (うのさつき)

がん看護専門看護師

ファミリー・ホスピス神戸垂水ハウスホーム長

新国内科医院 顧問 

演題「自分らしく生きる・暮らす」を支えるためのAPNの役割

患者が病気や障害を持ちながらも、地域の一市民としての療養生活をより安心・安全に過ごせるように支援するためには、医療の専門的な関わりは欠かせない。患者自身が何を大切にし、どこでどのように暮らしたいのかなど、患者の望むアウトカムを改善するには、医療の役割はほんの一部に過ぎないが、重要な役割を担っていると考える。病院や施設での非日常の場での関わりとは異なり、病気や障害のことだけでなく、患者の日常生活にまつわる様々な状況も踏まえ、包括的に対応することが求められる。あくまでも主役は患者自身であり、医療者の「善かれ」や「こうあるべき」を押し付けてはならない。医療者が患者の生活や人生をコントロールしてはならないが、かといって患者への影響力は大きく、関わる側としてのジレンマを生むこともある。この度のシンポジウムでは、地域でOCNSとして活動してきた経験を踏まえ、皆様と共に地域におけるAPNの役割について検討したい。

永谷 創石(ながたにそうせき)

診療看護師(NP)

帝京大学医学部附属病院外傷センター/帝京大学医学部整形外科学講座

演題:患者経験価値(Patient eXperience:PX)に関する高度実践看護師の役割

現代医療の指標はなにか。2014年に患者中心の医療および医療の持続可能性を考慮した医療の5つ指標(The Quintuple Aim)が提唱された。指標の1つに「患者経験価値(Patient eXperience:PX)」がある。PXは「一連のケアを通じ、患者に単発的あるいは集団的に起きる事象」と定義されている。これは患者がケアプロセスで何を経験するかということであり、その経験は患者の行動に大きな影響を与える。

 PXは患者と医療者従事者間との関係や患者中心性に関わる主観的な質指標と言われており、その評価は患者が主体である。APNとして患者のケアプロセスにどう関わっていくか、それをどのように評価していくか、PXは大きな指標となり得る。PXの向上にどのように取り組むか、その内容や考えられる障壁を整理し、皆様と考えていきたい。

新津 晃右(にいつこうすけ)

精神科ナースプラクティショナー・Assistant Professor

ワシントン大学看護学部

演題:精神科ナースプラクティショナーによる大学生のメンタルヘルスケア

勉学に励んだり友人と夢を語りあったりと楽しいはずの大学生活。その一方で、将来の不安に悩んだり経済面で苦労したりと、決して楽しいことばかりではないのが大学生の現実です。今回のシンポジウムでは、米国の大学で教員を務める傍ら、大学のカウンセリングセンターで精神科ナースプラクティショナーとして、大学生・大学院生のメンタルヘルスを支えてきた活動のプロセスとそのアウトカムをご紹介致します。私たち看護師は、発病してから治療することの大切さに加え、早期発見そして予防することの大切さも深く理解しています。しかし、医療従事者として他人を助ける前に、まずは自分自身をケアしなければならない大切さはつい忘れがちです。不安や緊張、抑うつなどの症状に対して精神科ナースプラクティショナーとして薬物療法やカウンセリングを行う診療(発病してからの治療)に加えて、看護教員として授業を通して看護学生のメンタルヘルスやウェルビーイングの向上を計る取り組み(早期発見・予防)なども報告する予定です。学生時代にセルフケアなどの知識やストレス対処スキルをしっかり身につけることにより、長い目でみると例えば看護師の離職率の減少や燃え尽き症候群の予防といったアウトカムに繋がることができれば、何よりの喜びです。

橋本 スティーブン(はしもとすてぃーぶん)

FNP, DNP, NSN

MHSU Burnaby Primary Care/OAT clinic, CANADA

演題:臨床学識と高度実践看護師の医療への貢献

近年における社会の複雑化、国境を超えた人の移動、パンデミック、また、気候変動における新たな健康問題の出現などは、看護や医療に大きな影響を与えるようになった。それに伴い、看護職はますます高度な知識を習得し、複雑化した医療問題に取り組むことが強いられている。特に高度実践看護師は、常に質の高いケアを提供できるプロフェッショナルとしての期待があり、北米ではすでに大きな活躍を遂げている。プレゼンテーションでは、まずボイヤーの臨床学識モデルになぞらえ、高度実践看護師の役割を考える。その後、具体的なクオリティー・インプルーブメント(QI)の例を紹介する。看護職のQIへの取り組みは、クライエントのアウトカムだけではなく、医療運営、健康政策、教育、研究の分野においても大きな貢献になるであろう。またそれは、医療や看護の臨床学識を高め、高度実践看護師のひとつの方向性としての可能性を大きく示唆している。

入江 佳子(いりえよしこ)

がん看護専門看護師・緩和ケア認定看護師

虎の門病院 看護部 

演題:APN が高める医療の価値〜求められるアウトカム~

がん看護領域での実践

がん患者は増加の一途を辿り、がん治療やケアは益々複雑化し、臨床看護師が担う役割は大きい。がん領域の高度実践看護師として、質の高い看護実践を行うために、自身の高度実践のみならず、診療報酬算定への貢献や多くのがん診療に携わる看護師の質向上やスキルアップに働きかけ、介入の評価を行うことが求められる。また、多職種チームを機能させ、複雑な患者のニーズに応えられるリーダーシップをとれることも、大きな役割のひとつといえる。

これらの活動のアウトカムとして、実践介入件数、時間、病院収益などの量的向上はもちろんだが、患者満足度の向上、リスクの減少などにも着目した、質的改善も求められるだろう。

そのためのデータ集積の工夫や、Quality Indicatorに関する取り組みなどについて議論したい。

パネルディスカッション
 

パネラー:入江佳子, 宇野さつき, 永谷創石, 新津晃右, 橋本スティーブン, 野々内美加​

​座長:濱嶋夕子

討論内容:人々の健康に貢献できるAPNの価値とは?

Follow

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn
  • Instagram

Society for Japanese Advanced Practice Nurses 

​ソーシャルメディアを使ってシンポジウムと後援会の情報を仲間に広めてください!

  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube

©2023 by Society for Japanese Advanced Practice Nurses (Logo design by Freepik on flaticon)

bottom of page